鉄針
てつばり
名詞
標準
文例 · 用例
鉄針と竹針とによる音色の相違はおそらく針自身の固有振動にも関係するだろうしまた接触点の弾性にもよるだろうが、これらの点を徹底的に研究すれば今後の改良に関する有益なヒントを得られるだろうと思われる。
— 寺田寅彦 『蓄音機』 青空文庫
「ビーン」の部で鉄針とそれにつながる糸とが急速な振動をしているために一種の楽音が発生するが、巻き取るときはそうした振動が中止するので音のパウゼが来るわけである。
— 寺田寅彦 『糸車』 青空文庫
いわゆる今日の外科道具で銀色の小刀、同じ色の鋏、象牙の箆、鹿の鞣し革、鵠毛の刷毛、鋭い鉄針、真鍮の輪、それと並べて大小の箱が、粉薬水薬を一杯に満たせ、整然として置かれてある。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫
しかしながら同じく鋼鉄針といっても、困ったことには坊間ひさぐところのものにはかなり不純なものが少くないということを耳にしているから、鋼針なら何でもよろしいというわけには行かない。
— 野村長一 『名曲決定盤』 青空文庫
一回だけで捨てる純良な鋼鉄針に比べてレコードによくないことは明らかである。
— 野村長一 『名曲決定盤』 青空文庫
中には鋼鉄針よりはむしろレコードを害うことが多いと唱える人がある。
— 野村長一 『名曲決定盤』 青空文庫
それは、竹針が鋼鉄針に比べて音が良いという誤れる認識である。
— 野村長一 『名曲決定盤』 青空文庫
時計塔は、文字盤の直径が二間もある、べらぼうに大きなもので、古風なぜんまい仕掛けだが、余程精巧に出来ていると見え、大地震に会っても、別に狂いも出来ず、現に今でも、人間の背丈程もある太い鋼鉄針が動いているし、時間時間には教会堂の鐘の様な時鐘が鳴り響くのだ。
— 江戸川乱歩 『魔術師』 青空文庫