戦報
せんぽう
名詞
標準
文例 · 用例
沙河会戦の続報もたいてい発表されてしまって、世間では更に新しい戦報を待ちうけている頃に、向田大尉は突然この師団を立ち去るという噂がまた聞こえた。
— 岡本綺堂 『探偵夜話』 青空文庫
沙河会戦の続報もたいてい発表されてしまって、世間では更に新しい戦報を待ちうけている頃に、向田大尉は突然この師団を立去るという噂がまた聞えた。
— 岡本綺堂 『火薬庫』 青空文庫
木曾の庄屋たちが急いで両国の旅籠屋を引き揚げて行ったのは、この水戸地方の戦報がしきりに江戸に届くころであった。
— 第一部下 『夜明け前』 青空文庫
戦報も次第に漠として来ている。
— 第一部下 『夜明け前』 青空文庫
飛騨の辺鄙な山の中でこの戦争を聞いていた半蔵ごときものでも、西からの戦報を手にするたびに安い心はなかった。
— 第二部下 『夜明け前』 青空文庫
欧州の天地、即今戦報のもたらす以外、別に這箇の大戦争あるを看過されずんば、洪図を固むるは諸卿の業、この物語の著者のごときはすなわち筆硯を焼き、退いて書癡に安んずるを得ん。
— 河上肇 『貧乏物語』 青空文庫
昨日は白耳義ナミュウルの要塞が危いとか今日は独逸軍の先鋒が国境のリイルに迫ったとか、そういう戦報を朝に晩に待受ける空気の中にあっては、唯々市民と一緒に成って心配を分け、在留する同胞の無事な顔を見て互いに前途のことを語るの外は無かった。
— 島崎藤村 『新生』 青空文庫
露西亜軍が東独逸に入ったという戦報の伝わった日は、岸本は自分の部屋に居て荷造りに日を暮した。
— 島崎藤村 『新生』 青空文庫