黍殻
きびがら
名詞
標準
文例 · 用例
ここへあたりの黍殻を寄せて二人が陣どる。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
三方崩れかかった窪地の、どこが境というほどの杭一つあるのでなく、折朽ちた古卒都婆は、黍殻同然に薙伏して、薄暗いと白骨に紛れよう。
— 泉鏡花 『燈明之巻』 青空文庫
赤坊の泣くのに困じ果てて妻はぽつりと淋しそうに玉蜀黍殻の雪囲いの影に立っていた。
— 有島武郎 『カインの末裔』 青空文庫
玉蜀黍殻といたどりの茎で囲いをした二間半四方ほどの小屋が、前のめりにかしいで、海月のような低い勾配の小山の半腹に立っていた。
— 有島武郎 『カインの末裔』 青空文庫
箒の先に力を入れないで柄の方に力を入れて、軽く掃き出せと言ふのだが、田舎で使ひ馴れた身藁や、黍殻の手箒などとは勝手が違つて、先の方が妙に手応へがなかつたりして、どうもうまく使へなかつた。
— 加能作次郎 『世の中へ』 青空文庫
余の幼き時に僅かに記憶して居るのは、これと少し違つて黍殻に赤紙の着物などを着せて人形として、それを板の上に沢山並べるのであつた。
— 正岡子規 『病牀六尺』 青空文庫
横四、五尺、両側は三尺足らずの屋台で、障子のような囲いをして、黍殻のようなものを横に渡したのに、簪が一杯刺し並べてあります。
— 小金井喜美子 『鴎外の思い出』 青空文庫