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隅棚

すみだな
名詞
1
標準
文例 · 用例
隅棚の枕時計は突と秒刻を忘れぬ。
尾崎紅葉 金色夜叉 青空文庫
……屹度、その刹那に彼は、明るければ明るい程不気味な夢の中で若少し続けづには居られない何かしら弁解風な言葉を誰かに向つて放つてゐる途中が多かつた――決して、その儘では手のとゞかない隅棚の上で労働向きの真新しい目醒時計が、人を突き飛ばすかのやうに鳴り出した。
牧野信一 F村での春 青空文庫
と大きな声でいいつけると、そいつがいきなりはいってきて、わたしのパイプののせてある隅棚の方へ、つかつかと歩いて行くじゃありませんか。
フョードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキー 罪と罰 青空文庫
おい、なにか出さないか」 深尾は隅棚からハート形の黒い罎とタンブラーを出して卓の上においた。
久生十蘭 三界万霊塔 青空文庫
縁無しの近眼鏡をかけた、素朴な顔つきの二十五、六の外国人で濠洲兵の軍服に白のスパッツをつけ、手に持っていた、ボーイのような鍔広帽子を隅棚の上へ置くと、ニコニコ笑いながら手を差しだした。
久生十蘭 三界万霊塔 青空文庫
天井の太い梁も、隅棚の和蘭の人形も、置時計も、花瓶も、木の間ごしにチラチラとうごく水明りも、眼にうつるものはすべて、もうなんの情緒もひき起さない。
久生十蘭 肌色の月 青空文庫
加藤という秀才型の係官はノンシャランなようすで広間の中をブラブラと歩きまわり、煖炉棚の花瓶や隅棚の人形を眺めていたが、そこの床の上に置いてあった絵具箱をとりあげると、だしぬけに久美子のほうへ振返った。
久生十蘭 肌色の月 青空文庫
手拭」 頤の先から雫をこぼし、後ろを向いてこう喚くと、いま用の済んだ剃刀を盆にのせて、脱衣部屋の隅棚へ立って行った小坊主が、あわてて駆け戻って来て彼の前に手拭を捧げた。
吉川英治 黒田如水 青空文庫