揺られる
ゆられる
動詞
標準
文例 · 用例
蝕まれた莟の女は美しく心を牽く、雲間の日のように、風に揺られる水のように。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
花田はお秀に肩を掴えられて緊く揺られると、文吉に向ってお叩頭をしました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
生れ代りの説は和漢共に随分俗間に行われたもので、恐れ多いことだが何某天皇は或修行者の生れ代りにわたらせられて、其前世の髑髏に生いたる柳が風に揺られる度毎に頭痛を悩ませたもうたなどとさえ出鱈目を申して居たこともある。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
空の上のことだから、どんな日和にしても、必ず目に見えない風が流れていて、私共もそれに従って右や左に多少は揺られるのであった。
— 渡辺温 『風船美人』 青空文庫
深山と気脈の通じているらしく思えるこの俳友B―に対する軽い反抗心も、腕車に揺られる息苦しいような胸にかすかに波うっていた。
— 徳田秋声 『黴』 青空文庫
風に揺られる蒼々した木立ちの繁みの間に、白々した路が一筋どこまでも続いていた。
— 徳田秋声 『爛』 青空文庫
八 日の光がとっぷりと隠れてしまって、往来の灯ばかりが足もとのたよりとなるころ、葉子は熱病患者のように濁りきった頭をもてあまして、車に揺られるたびごとに眉を痛々しくしかめながら、釘店に帰って来た。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
「知りません」 と葉子はなお怒って見せようとしたが、いかにも刻みの荒い、単純な、他意のない男の顔を見ると、からだのどこかが揺られる気がして来て、わざと引き締めて見せた口びるのへんから思わずも笑いの影が潜み出た。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫