佐保姫
さほひめ異読 さおひめ
名詞
標準
Saohime
文例 · 用例
……いずれ、佐保姫の妙なる袖の影であろう。
— 泉鏡花 『瓜の涙』 青空文庫
立ち小便については別に諸方の例を挙げ置いたが(立小便と蹲踞小便)、その後見出でたは、慶安元年板『千句独吟之俳諧』に「佐保姫ごぜや前すゑて立つ」、「余寒にはしばしはしゝを怺へかね」、まずこれが日本で女人立ち尿の最古の文献だ。
— 鶏に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
心|周章つる佐保姫が、旅の日|急くか、この夕、人は夕飯に耽る間を、花そこここに散りこぼれ、痛ましきかな、春の日の快樂も土にかへりけり。
— 薄田泣菫 『泣菫詩抄』 青空文庫
ああ、恨みある春の夜のよはのあらしに熱情の焔な消しそ、木がくれにのがれて急ぐ佐保姫が旅路を詛ふ蠱術の息吹とはかん火ぞ、これは。
— 薄田泣菫 『泣菫詩抄』 青空文庫
あな來たりやほととぎす、遠く、遠く、また遠く、心をいざなふその音色は、花ぞちらふ夕暮、車駕はする佐保姫のはかなき別れに恨み長う血に鳴く鳥の身ならで、いづれの胸より聞かれ得べき。
— 薄田泣菫 『泣菫詩抄』 青空文庫
「佐保姫」に出てゐるが、明治四十一年だと思ふ、私の動坂の寓居の歌会で作られたものである。
— 平野萬里 『晶子鑑賞』 青空文庫
佐保姫に至りては、古史神話の神統論は、其名を示さざるが故に、その如何なる宗教的意義を有するやを云う能わざるも、赫夜姫と等しく、純粋の詩的神話の神格にして、何等の宗教的意義をも、有せざるが如し。
— 高木敏雄 『比較神話学』 青空文庫
佐保姫或は佐保山姫と云うは、蓋し佐保山の神の義にして、此山の位置が、奈良の都の東方に当りしより、此神を以て、春の神とするに至りしにて、龍田姫が西方に在りて、秋の紅葉の神なるに対して、東方の佐保山姫は、春の霞の神なる可し。
— 高木敏雄 『比較神話学』 青空文庫