応申
おうさる
名詞
標準
文例 · 用例
武士の矢並つくろふ小手の上に霰たばしる那須の篠原といふ歌は万口一斉に歎賞するやうに聞き候へば、今更取り出でていはでもの事ながら、なほ御気のつかれざる事もやと存候まま一応申上候。
— 正岡子規 『歌よみに与ふる書』 青空文庫
」「与力としては申しますまい、殿を相手の論客として、貝十郎一応申そうならば、まず第一に開化施政!
— 国枝史郎 『血煙天明陣』 青空文庫
しかし少納言様の急に御歿くなりになった御話は、前に一応申上げました通り、さらにそのような次第ではございませんから、その噂は申すまでもなく、皆|跡方のない嘘でございます。
— 芥川龍之介 『邪宗門』 青空文庫
七日経て答弁が出来なければ出来ないと云ふことを、本費目に掛る前に、大臣御出席であるから、一応申されて然るべしと思ふ。
— 木下尚江 『政治の破産者・田中正造』 青空文庫
……むろん、正木の方から、一応申上げたはすだと存じますが、私からじかに申上げてみたら、また、いくぶんお感じの上でちがう点もあろうかと存じまして……」 と、俊亮は、まるっこい膝を、手のひらでこすりこすり言った。
— 第二部 『次郎物語』 青空文庫
彼は威儀を正して一通りの挨拶をすませると、「招待状にもちょっと申上げておきましたように今日は当家の秘密を皆様にお話申上げたいと思います」と前置きして、「已に御承知の事でしょうが、話の順序として一応申上げます。
— 大倉※子 『魂の喘ぎ』 青空文庫
」「それ知らぬとは駈け出しのご修行じゃな、後に臍を噛むが気の毒ゆえ、さらば一応申し聞かせよう。
— 吉川英治 『剣難女難』 青空文庫
先にも言った通り、この離れは一軒建の洋館だったが、部屋の様子を一応申し述べてみると、東と北とは壁、そして、その隅に寝台が置かれ、それに並んで、洋箪笥が据えてある。
— 江戸川乱歩 『火繩銃』 青空文庫