浴せ掛ける
あびせかける
動詞
標準
文例 · 用例
踊を見ながら輪の周圍に立つて居る村落の女等は手と手を突き合うて勘次の容子を見てはくすくすと竊に冷笑を浴せ掛けるのであつた。
— 長塚節 『土』 青空文庫
それに出し抜けに、美中に刺ありともいうべき批評の詞を浴せ掛けるとは、怪しからん事だと思った。
— 森鴎外 『青年』 青空文庫
彼等は侃の背後まで来ると、急に歩調を緩めて、彼の背に対ってぶつぶつと罵倒を浴せ掛けるのだ。
— 原民喜 『背後』 青空文庫
けれども、其なら絶間ない努力と、絶間ない祈りとの熾な焔に、無残にも其を打消す汚れを浴せ掛けるのは誰だろう?
— 宮本百合子 『無題』 青空文庫
」「すると貴方は……」 女は浴せかけるやうに質問した。
— 萩原朔太郎 『夏帽子』 青空文庫
「時間中に、おもてへ入ることは能きないって、おもてへ行って、ボースンにそう云って来い」「ハイ」 彼が下りかけると、浴せかけるように、一運はつけ加えた。
— 葉山嘉樹 『労働者の居ない船』 青空文庫
」 と横ざまに浴せかけると、訓導は不意打ながら、さしったりで、杖を小脇に引抱き、「学校へ通うのに足場が悪くって、道が遠くって仕様がないから留めたんだ。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
さう周圍が眞暗なため、店頭に點けられた幾つもの電燈が驟雨のやうに浴せかける絢爛は、周圍の何者にも奪はれることなく、肆にも美しい眺めが照し出されてゐるのだ。
— 梶井基次郎 『檸檬』 青空文庫