絵葉
えば
名詞
標準
文例 · 用例
真実くるし過ぎた一夏ではあったが、くるしすぎて、いまでは濃い色彩の着いた絵葉書のように甘美な思い出にさえなっていた。
— 太宰治 『姥捨』 青空文庫
「絵葉書に針でもってぷつぷつ穴をあけて、ランプの光に透かしてみると、その絵葉書の洋館や森や軍艦に、きれいなイルミネエションがついて、――あれを思い出さない?
— 太宰治 『秋風記』 青空文庫
私は親類や知人の誰彼が避暑先からよこした絵葉書などを見る度に、なんだか子供等にまだなんらかの負債をしているような心持を打消す事が出来なかった。
— 寺田寅彦 『小さな出来事』 青空文庫
またある留学生の仲間がベルリンのTという料理屋で食事をした時に、いつもするように一同で連名の絵葉書をかいた。
— 寺田寅彦 『ある日の経験』 青空文庫
直き町の角の煙草屋も見たし、絵葉がき屋も覗いたが、どうもその類のものが見当らない。
— 泉鏡花 『みさごの鮨』 青空文庫
魚河岸が築地へうつってからは、いっそう名前もすたれて、げんざいは、たいていの東京名所絵葉書から取除かれている。
— 太宰治 『葉』 青空文庫
茶店の店頭に並べられて在る絵葉書を、おとなしく選んでゐるもの、佇んで富士を眺めてゐるもの、暗く、わびしく、見ちや居れない風景であつた。
— 太宰治 『富嶽百景』 青空文庫
」 彼の寝台の上には、手帳や、本や、絵葉書など、私物箱から放り出したまゝ散らかっていた。
— 黒島傳治 『穴』 青空文庫