屈伏
くっぷく
名詞
標準
文例 · 用例
民族的反感からは信用したくない人でも、論理の前には屈伏しなければならない事を知っているから。
— 寺田寅彦 『アインシュタイン』 青空文庫
その柔かい筋肉とは無関係に、角化質の堅い爪が短かく尖の丸い稚ない指を屈伏させるように確乎と並んでいる。
— 岡本かの子 『かの女の朝』 青空文庫
人懐かしがりのかの女を無条件に嬉ばせ、その尊厳か、怜悧か、豪華か、素朴か、誠実か、何でも宜い素晴らしくそしてしみじみと本質的なものに屈伏させられるような領土をかの女は世の中の方にもまだ欲しい。
— 岡本かの子 『かの女の朝』 青空文庫
實に荀子の言つた通り、相貌は肖て心志は肖ざるものもあり、王充の言つた通り、同時に埋殺された趙の降卒何十萬が、皆同じ生年月を有した譯でも無からうが、其等の事は姑らく論外として置いて、兎に角運命前定論などには屈伏し難いのが、人の本然の感情であるといふことは爭はれない。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
七年といふ刑は岡田が轉向を肯じなかつたこと、彼が敵の前に屈伏しなかつたことを物語つてゐる。
— 島木健作 『癩』 青空文庫
七年という刑は岡田が転向を肯じなかったこと、彼が敵の前に屈伏しなかったことを物語っている。
— 島木健作 『癩』 青空文庫
どうせ、こんな手合を弁口で屈伏させる手際はなし、させた所で、いつ迄御交際を願ふのは、此方で御免だ。
— 夏目金之助 『坊っちやん』 青空文庫
如何に旨く移る、如何に自然に移る、如何に讀者を啓發する樣に移る、如何に讀者を驚かす樣に移る、如何に讀者の頭を屈伏させる樣に必然に移る、――是等が此の興味を圍繞する諸條件である。
— 夏目漱石 『「額の男」を讀む』 青空文庫