屋形
やかた
名詞
標準
文例 · 用例
舷は藍、萌黄の翼で、頭にも尾にも紅を塗った、鷁首の船の屋形造。
— 泉鏡花 『伯爵の釵』 青空文庫
」 八 岸をトンと盪すと、屋形船は軽く出た。
— 泉鏡花 『伯爵の釵』 青空文庫
……島へ渡した細綱を手繰って、立ちながら操るのだが、馴れたもので、あとを二押三押、屋形船が来ると、由を聞き、魚を視て、「まあ、」と目を※ったきり、慌しく引返した。
— 泉鏡花 『伯爵の釵』 青空文庫
続きましては、手前預りまする池なり、所持の屋形船。
— 泉鏡花 『伯爵の釵』 青空文庫
」で、辞退も会釈もさせず、紋着の法然頭は、もう屋形船の方へ腰を据えた。
— 泉鏡花 『伯爵の釵』 青空文庫
その物売の、布子の円い背中なぞへ、同じ木賃宿のそこが歪みなりの角から、町幅を、一息、苗代形に幅の広くなった処があって、思いがけず甍の堆い屋形が一軒。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
その先の船一つ距てゝ、屋形船が着いています。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
「君の家」の君勇は稽古に出掛けようとして、「……通い馴れたる細路地を……」 と、昔、はやったが今はもう時代おくれになってしまっている鴨川小唄の一節を、ふと口ずさみながら、屋形の玄関をガラリとあけて出た途端、「あら――」 と、立ちすくんだ。
— 織田作之助 『それでも私は行く』 青空文庫