物凄まじい
ものすさまじい
形容詞
標準
文例 · 用例
それは、おどろ怖ましい色であり、靄であって、その物凄まじいおののきには、自分の心臓すらも、観客は見出せないほどであった。
— 小栗虫太郎 『人魚謎お岩殺し』 青空文庫
いつもいつも上手の年古りた柳の影で、不断に轟々然たる物凄まじい響きを挙げて回り続けてゐる水車であつたから、このあたりの流れは白く泡立ち煮えくり返つてゐるすがたで、ものゝ影が映るなどゝは思ひも寄らぬのに――嗚呼、そこには私と雪太郎の上半身が微風の気合ひも知らずに、あざやかに生息してゐる。
— 牧野信一 『バラルダ物語』 青空文庫
……間一髪、私は、五臓六腑がものゝ見事に吹き飛んだ轟きに打たれて、全くの無意識状態の絶頂に飛びあがつた瞬間、物凄まじい勢ひで、突如、「ワーツ……!
— 牧野信一 『バラルダ物語』 青空文庫
」 と物凄まじい濁音で一声叫んだきり、人垣をわけて何処かへ駈け出して行つてしまつた。
— 小寺菊子 『河原の対面』 青空文庫
昨夜も姉さんを自分の部屋に呼びつけて、變なことばかり言つて居たさうですが、姉さんが逃げて二階の部屋へ歸つた後で、柱にもたれて一人でお酒を呑んでゐるところを、背後から障子越しに――」 お吉は餘りの物凄まじい光景を思ひ出したものか、固唾を呑んで絶句してしまひました。
— 罠 『錢形平次捕物控』 青空文庫
其處には主人の金右衞門が細引で首を絞められて、物凄まじい形相で死んで居り、少し離れて手代の喜三郎、これは滅茶々々に切られて死んで居るのです。
— 三軒長屋 『錢形平次捕物控』 青空文庫
――隆を殺すなんて」「イエ、私は酒巻さんが殺したとは申しません」「すると誰だ、誰が隆を殺したと言うのだ」「酒巻さんは、心臓麻痺と言う診断書を書いただけの事なのです」「誰だ、誰だ」 讃之助が物凄まじい亢奮に囚えられると、勢子は反対に益々冷静になって行きます。
— 野村胡堂 『葬送行進曲』 青空文庫
「胸が燒きつくやうで、喉が喝いて――、眩暈がして、頭が割れさうで――そんな心持がしませんか」「いえ少しも」 答へるお絹の平靜さに比べて、問ふお小夜の顏は物凄まじいものでした。
— 三つの菓子 『錢形平次捕物控』 青空文庫