町口
まちぐち
名詞
標準
文例 · 用例
一山に寺々を構えた、その一谷を町口へ出はずれの窮路、陋巷といった細小路で、むれるような湿気のかびの一杯に臭う中に、芬と白檀の薫が立った。
— 泉鏡花 『夫人利生記』 青空文庫
出船入り船帆影も繁き石の巻からそのお城下までへは、陸前浜街道を一本道に原ノ町口へ抜けて丁度十三里――まさかと思ったのに、およそ退屈男程気まぐれな風来坊も稀でした。
— 仙台に現れた退屈男 『旗本退屈男 第七話』 青空文庫
ないところから、のっしのっしと浜街道を十三里ひと日にのし切って、群なす旅人の影に交りながら、ふらりふらりとお城下目ざして原ノ町口に姿を現しました。
— 仙台に現れた退屈男 『旗本退屈男 第七話』 青空文庫
熱田の町口には加藤|図書助順盛が迎えに出て来て居て、出陣式法の菓子をそなえた。
— 菊池寛 『桶狭間合戦』 青空文庫
忽ち、そのトラックにいたカーキ色レイン・コートの連中が棒を片手にトラックの両側からとびおり、あとにつづく二台のトラックから同じようにしてとびおりて駈け集った連中と一隊になって、す早く、その狭い右手の町口にかたまった。
— 宮本百合子 『道標』 青空文庫
人なだれは渦のように広場へひろがって、伸子と素子とははぐれまいとして手をつなぎあったまま小さな日本の女の体をぐいぐいおしたくられ、到頭行進のもみ合っている町口からずっとひっこんだカフェーよりまでつめられてしまった。
— 宮本百合子 『道標』 青空文庫
……ゆうべは御影供の当日で、ほうぼうの寺に御開帳があったから、ちょうどあの刻限には、外糀町口のあたりは、ご代参がえりの女乗物でごったがえしたはず。
— 御代参の乗物 『顎十郎捕物帳』 青空文庫
……紀州様とほぼ同時刻に外糀町口をとおった女乗物は、赤坂表町の松平|安芸守さま、それに、外桜田の鍋島さまと毛利さま、このお三家でございます。
— 御代参の乗物 『顎十郎捕物帳』 青空文庫