含まる
ふくまる
動詞
標準
文例 · 用例
余は自ら真理を発見したためではないが、ヨブ記十九章までに含まるる真理の余りに大なるに接して病を得たのである。
— 内村鑑三 『ヨブ記講演』 青空文庫
その人の説によれば視力の及ぶ距離は霧の滴の直径に比例し、空気の一定容積中に含まるる水の量に反比例する。
— 寺田寅彦 『歳時記新註』 青空文庫
しかも上品に衣紋正しく、黒八丈の襟を合わせて、色の浅黒い、鼻筋の通った、目に恐ろしく威のある、品のある、眉の秀でた、ただその口許はお妙に肖て、嬰児も懐くべく無量の愛の含まるる。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
質量は物体に含まるる実体の量だというように考えたは昔の事で、後にむしろ力の概念が先になって、物体に力が働いた時に受ける加速度を定める係数というふうに解釈した実証論者もある。
— 寺田寅彦 『物理学と感覚』 青空文庫
しかして評家が従来の読書及び先輩の薫陶、もしくは自己の狭隘なる経験より出でたる一縷の細長き趣味中に含まるるもののみを見て真の文学だ、真の文学だと云う。
— 夏目漱石 『作物の批評』 青空文庫
すべてこれらの誤謬は、論者がすでに自然主義という名に含まるる相矛盾する傾向を指摘しておきながら、なおかつそれに対して厳密なる検覈を加えずにいるところから来ているのである。
— 石川啄木 『時代閉塞の現状』 青空文庫
この場合、勿論、科学の発達の中に含まるべきことではあるが、特に文芸に於て注意して置くべきは、印刷術の発達普及ということ、従って一般読者のレベルの向上、及び読書力の普及ということである。
— 直木三十五 『大衆文芸作法』 青空文庫
エドガア・アラン・ポーの小説は、芸術小説の部類に含まるべきものながら、その題材は主として怪奇物語を取扱っている。
— 直木三十五 『大衆文芸作法』 青空文庫