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名詞
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標準
文例 · 用例
それほど霧で眼界をめられていた、それだけまた神経が鋭く尖っていた、自分たちから一間ばかり、先へ離れて、雷鳥がちょこちょこ歩いて行く、こっちで停まれば向うでも停まる、歩けば先へ立って行く、冥府から出迎いにでも来た悪鳥のように、この鳥の姿が消えるとき、自分たちの運命も終焉を告げるように。
小島烏水 白峰山脈縦断記 青空文庫
夜になって空に星はあったが、電光が白い柱を、谷の中に投げては、夜営の人々をおどろかした、夜半には、秋雨が音なく注いだ、川縁に転がっている流材を焚火にして、寒さを凌いだ、針葉樹の切崖で囲んだ、瓶のようにい谷底からは、天も谷川ほどの細さで流れている。
小島烏水 白峰山脈縦断記 青空文庫
資本制は、労働者に一人残らず狭衣――監獄で狂暴な囚人に着せる革の衣類、それを着ると、からだは自由がきかなくなって、非常な苦痛を感じる――を着せて、手錠、足錠をはめているのだ」藤原は、その目だけがますます然え上がった。
葉山嘉樹 海に生くる人々 青空文庫
今は、この見らしい薔薇が、どんな花をひらくか、それだけに、すべての希望をつながなければならぬ。
太宰治 善蔵を思う 青空文庫
神社の森の中は、暗いので、あわてて立ち上って、おお、こわこわ、と言い肩を小さくめて、そそくさ森を通り抜け、森のそとの明るさに、わざと驚いたようなふうをして、いろいろ新しく新しく、と心掛けて田舎の道を、凝って歩いているうちに、なんだか、たまらなく淋しくなって来た。
太宰治 女生徒 青空文庫
冠氏は、薄紅の山茶花の如く寒しげに、肩を小さくめ、困惑の有様であった。
太宰治 懶惰の歌留多 青空文庫
二 夜、丸の内の淋しい町を歩いていたとき、子供を負ぶった見らしい中年の男に亀井戸|玉の井までの道を聞かれ、それが電車でなく徒歩で行くのだと聞いて不審をいだき、同情してみたり、また嘘つきのかたりではないかと疑ぐってみたりしたことがあった。
寺田寅彦 雑記帳より(1) 青空文庫
その地平線の一方には上野|竹の台のあの見らしい展覧会場もぼんやり浮き上がっているのに気が付く。
寺田寅彦 帝展を見ざるの記 青空文庫