独擅
どくせん
名詞
標準
文例 · 用例
あえてこの慰を独擅にせんのじゃで、到る処俺が例の観察をして突留めた奴の家には、必ず、門札の下へ、これで、ちょいとな。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
そういえば、もう仰せいだしになるころじゃのう……」 案の定、ずぼしが命中したか、日光ご社参と聞くと伊豆守の顔色にいっそうの狼狽が見えましたので、もうこうなれば右門の独擅場でした。
— 血染めの手形 『右門捕物帖』 青空文庫
ところが、その結果偶然にも、あの空中|曲芸を生んでしまったものだ」 まさに法水の独擅場だった。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
お嬢さんはN女子大の国文科を出たとかで、芝居の話も詳しく、知ったか振りをしたぼくが南北、五瓶、正三、治助などという昔の作者達の比較論をするのに、上手な合槌を打ってくれ、ぼくは今夜は正に自分の独擅場だなと得意な気がして、たまらなく嬉しかったのです。
— 田中英光 『オリンポスの果実』 青空文庫
前代|未曾有の大珍事に御座候」 以上の通、池田屋襲撃は、殆んど新撰組の独擅場で、彼等が得意になるのは当然だらう。
— 池田屋襲撃 『大衆維新史読本』 青空文庫
「まどき」が盛んに『読売』の投書欄を賑わして殆んど独擅場の観があった頃、中坂思案外史の名がポツポツ投書欄に見え出した。
— ――尾崎紅葉―― 『硯友社の勃興と道程』 青空文庫
芹|摘みにと手を出したれば芹のあたりにゐたる泥鰌の捕へられんとや恐れけん、あちらに逃げ隠れたりといふ意にして、泥鰌を擬人法にして軽くおどけたる処、丈草の独擅なり。
— 正岡子規 『俳諧大要』 青空文庫
一転して仙道の話となるや、木食仙人の独擅場で、言々句々精彩を発し、わけても延命術、尺地術、吸気術、飛天術、断食待饑術に至っては、微細に渡ったものである。
— 国枝史郎 『蔦葛木曽棧』 青空文庫