運搬車
うんぱんしゃ
名詞
標準
文例 · 用例
曇天の重い空の下で、行き惱んだ運搬車。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
そして、私は屍體運搬車に違ひないその車の遠い軋りの跡にぢつと耳を傾けてゐた。
— 南部修太郎 『病院の窓』 青空文庫
手術前の體の消毒の爲めに運搬車が來て、一先づお前を消毒室へ運び去つて行つた時、急に呻き聲の消えた靜かな病室の中に、私は兄とお前の母と顏を見合せてぢつと押し默つてしまつた。
— 南部修太郎 『疑惑』 青空文庫
が、お前を載せた運搬車のゴム輪の軋りが廊下に聞えた次の瞬間に、私の體はまた水を浴びせられたやうに戰いた。
— 南部修太郎 『疑惑』 青空文庫
と、私の默想はまたあの廊下に軋る運搬車のゴム輪の音に破られた。
— 南部修太郎 『疑惑』 青空文庫
過日の事であったが、私は山の手の名を知らない一坂道に於いて、転居の荷物を運搬する一|大八車(当時あった、人力運搬車)が、積荷が重くて人力不足の、加えて路面が渋っていて登り悩んでいるのを目撃した。
— 幸田露伴 『努力論(現代訳)』 青空文庫
――廊下を通る男たちの草履のすれる音、二三人ひそひそと人目をぬすんで話しつゝ行く氣はひ、運搬車の車のきしむ響き、三度々々の飯時に食器を投げる音、しのびやかに歩く見まはり役人の靴音と佩劒の音。
— 島木健作 『癩』 青空文庫
――廊下を通る男たちの草履のすれる音、二、三人ひそひそと人目をぬすんで話しつつ行く気はい、運搬車の車のきしむ響き、三度三度の飯時に食器を投げる音、しのびやかに歩く見まわり役人の靴音と佩剣の音。
— 島木健作 『癩』 青空文庫