暴々
暴々
名詞
標準
文例 · 用例
形のいい鼻の粗い魅力がうす黒い建物に吸いこまれると灰色のホテルの壁にそって彼女の影がコンクリートの階段を中年女の靴音をのこして一歩、一歩、女の強い忍従が右に折れると、或る部屋の扉を繊奢な澱みもなく暴々しくノックした。
— 吉行エイスケ 『女百貨店』 青空文庫
」 暴々しく引き解きて、手早くぐるぐる巻きにせり。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
彼は八蔵にむかって、この鶏はいっそ打ち殺してしまおうと思うのだが、おかみさんがぐずぐず云うから持って行ってくれと暴々しく云った。
— 大森の鶏 『半七捕物帳』 青空文庫
薄衣 別にかうといふこともござりませぬが、兎かくにお氣が暴々しくなつて……。
— 岡本綺堂 『佐々木高綱』 青空文庫
時々、暴々しく席を蹴つて立ちあがると、両手を打ち振り打ち振り、何ものかを捉まへようとでもするやうに、じつと眼を凝らすことがあつた。
— VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI 『ディカーニカ近郷夜話 前篇』 青空文庫
自分も彼も粉々にし、ざま見ろと叫びたいほどの暴々しさ。
— 宮本百合子 『伸子』 青空文庫
怖ろしい大外套の襟をたてて、北方ハンガリヤの暴々たる野末だ。
— 逸見猶吉 『逸見猶吉詩集』 青空文庫
街上では(寒気が厳しかったので)人々は各自の住家の前の舗石の上や、屋根の上から雪をこそげ落しながら、暴々しい、しかし快活な、気持ちの悪くない一種の音楽を奏していた。
— A CHRISTMAS CAROL 『クリスマス・カロル』 青空文庫