居村
きょそん
名詞
標準
文例 · 用例
その後この歯医者がカシュガルに器械持参で出かけるついでの道すがらわざわざこのイブラヒム老人のためにその居村に立ち寄って、かねての話の入れ歯を作ってやろうと思った。
— 寺田寅彦 『自由画稿』 青空文庫
保は枳園の訃を得た後、病のために新聞記者の業を罷め、遠江国|周智郡犬居村百四十九番地に転籍した。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫
お杉が棲んでいる虎ヶ窟というのは、角川家のある町と吉岡家の居村とを境する低い丘から、約一里の山奥にあった。
— 岡本綺堂 『飛騨の怪談』 青空文庫
居村の路を歩く時に比べて、親みの代りに好奇心があつた。
— 石川啄木 『道』 青空文庫
こゝを立ち去りてなほ降るに、ひぐらしの声涼しく聞えたれば、日ぐらしの声の底から岩清水 この夜は山麓の覊亭に一泊し、あくる朝|連立て蒼海を其居村に訪ひ、三個再び百草園に遊びたることあれど、記行文書きて己れの遊興を得意顔に書き立つること平生好まぬところなれば、こゝにて筆を擱しぬ。
— 北村透谷 『三日幻境』 青空文庫
『水役は、老生の居村――農山村にては、人別帳後に一村を合計して、高持何軒、水役何軒と記しありて、高持に對する無高を意味し、誰々水役より高持になると記録に特記して身分の向上を慶びたり。
— 島崎藤村 『桃の雫』 青空文庫
そして指定せられた二三箇所を見て※つた末、矢張りその友人の居村である古宇村といふにきめたのでした。
— 海邊八月 『樹木とその葉』 青空文庫
然かも父祖の遺業に安居して天産に衣食せる人民は悠々として世故に迂なるを以て四年の水害に苦しみ四年の凶斂に悩み、更に居村滅亡の猾策に遭ふも詭弁甘言の惑ハす処となりて自ら陥穽に墜落するを知らざるなり。
— 田中正造 『非常歎願書』 青空文庫