移り行く
うつりゆく
動詞-五段-行く動詞-自動詞
標準
to change
文例 · 用例
そうして、甘味を常態と考えて、対他的消極性の方向へ移り行くときに、「いき」を経て渋味に到る路があることに気附くのである。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
このようないろいろの騒がしい音はしばらくすると止まって、それが次の室に移り行くころには、足もとの壁に立っている蒸気暖房器の幾重にも折れ曲がった管の中をかすかにかすかにささやいて通る蒸気の音ばかりが快い暖まりを室内にみなぎらせる。
— 寺田寅彦 『病院の夜明けの物音』 青空文庫
その巨大な神はスフィンクスに身をもたせて、まるで移り行く年月のことを考えてでもいるかのように、物思いにしずんで、夢みるように横たわっていました。
— BILLEDBOG UDEN BILLEDER 『絵のない絵本』 青空文庫
蛙、蛙、蛙、蛙、蛙と書いた文字に、一ツ一ツ音があって、天地に響くがごとく、はた古戦場を記した文に、尽く調があって、章と句と斉しく声を放って鳴くがごとく、何となく雲が出て、白く移り行くに従うて、動揺を造って、国が暗くなる気勢がする。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
吹き迷ふ風に、とかく移り行くほどに、扇をひろげたるが如く末広になりぬ。
— 田中貢太郎 『日本天変地異記』 青空文庫
空には灰を吹きたれば、火の光を映じて普く紅なる中に、風に堪へず吹き切られたる焔、飛ぶが如くにして、一二町を越えつつ移り行く、その中の人現心あらんや。
— 田中貢太郎 『日本天変地異記』 青空文庫
たゞ一つ、私の妻と小さな三人の子どもとが、私と一しよに移り行くことが出来たなら、私はどんなに、より幸福でせう。
— 鈴木三重吉 『勇士ウ※ルター(実話)』 青空文庫
おおかたは水洟をすすっているような老人であるのも、そこに移り行く世のすがたが思われて、一種の哀愁を誘い出さぬでもない。
— 唐人飴 『半七捕物帳』 青空文庫
作例 · 標準
例句