貽
貽
名詞
標準
文例 · 用例
太祖の深智達識は、まことに能く前代の覆轍に鑑みて、後世に長計を貽さんとせり。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
当時の詩人に於ては、高啓を重んじ、交情また親しきものありしは、|奉答高季迪、|寄高編脩、|賀高啓生子、|訪高啓鍾山寓舎辱詩見貽、|雪夜読高啓詩等の詩に徴して知るべく、此老の詩眼暗からざるを見る。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
それのみか然様いう恐ろしいところではあるが、しかし沈香を産するの地に流された因縁で、天香伝一篇を著わして、恵を後人に貽った。
— 幸田露伴 『連環記』 青空文庫
山林濫伐を敢てして福を惜まなかつた結果は、禿山渇水を到處に造り出して、土地の氣候を惡くし、天候を不調にし、一朝豪雨あるに至れば、山潰え水漲りて、不測の害を世間に貽るに至るではないか。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
既に前人の植福の庇陰に依る、吾人も亦植福の事をなして子孫に貽らざる可からずである。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
徳を積み智を積むことは、即ち大なる植福をうる所以であつて、樹を植ゑて福惠を來者に貽る如き比では無い。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
そして其の爲に自他に取りて何等の幸福をも來さずして、卻つて幾干かの不幸福を自他に貽りて居ることが無いには限らぬと思はずには居られ無かつた。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
盲腸の如き、生活状態の變化したる今日の吾人には何の用をもなさずして、卻て病患を貽すほかには作用無き物の體内に存在して居るのは、吾人が料簡し感思し命令する所以のものから言へば、摘出し驅除したくも覺ゆ可きものである。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫