御一新
ごいっしん
名詞
標準
文例 · 用例
――長らく吹きすさんでいた血なまぐさい風は、その御一新の大号令と一緒に、東へ、東へと吹き荒れていって、久方ぶりに京にも、平和な秋がおとずれたかと思ったのに、突如としてまたなまぐさい殺気が動いて来たのである。
— 佐々木味津三 『流行暗殺節』 青空文庫
御一新後言語洞開、府藩県不可達の地は無之筈に候。
— 森鴎外 『津下四郎左衛門』 青空文庫
この度堺表の事件に就いては、外国との交際を御一新あらせられる折柄、公法に拠って御処置あらせられる次第である。
— 森鴎外 『堺事件』 青空文庫
勿論、江戸市中や近在には姿をみせず、そのうちに御一新の大騒ぎですから、そんな詮議をしてもいられません。
— 歩兵の髪切り 『半七捕物帳』 青空文庫
「じゃ、お爺さんは、その血のあったあたりを覚えてるかね」「もう御一新前のことじゃで、はっきり覚えないが、方角位はつくだろうよ」 遠縁の者はその老人を伴れて葛西の邸の傍へ往くと、老人はそこここと方角を考えていて、坂路の登りぐちへ往って、「このあたりだ」 と云った。
— 田中貢太郎 『赤い花』 青空文庫
もと豊後の杵築の藩士で、大阪|中の島にあった藩の蔵屋敷の定詰であったが、御一新後大阪府の貫属となって江戸|堀に住んでいた。
— 田中貢太郎 『神仙河野久』 青空文庫
「ここには、御一新前からの埃があるからね」「へい」「気をつけてね」「へい」 胡蓙が解けるとともにもう薄すらと埃が見えた。
— 田中貢太郎 『春心』 青空文庫
神戸三宮事件に、堺旭茶屋事件に、御一新早々|苦い経験をなめさせられたのも、そういう新政府の人たちだからであった。
— 第二部上 『夜明け前』 青空文庫