轟か
とどろか
形容動詞
標準
文例 · 用例
稻田が秋風に吹かれてさらさらと動く聲に、耳傾けては胸を轟かせた。
— 太宰治 『思ひ出』 青空文庫
海抜二百メートルくらいの山脈をへだてて三里もさきの海浜を轟かす土用波の音が山を越えて響いてくるのである。
— 寺田寅彦 『夕凪と夕風』 青空文庫
ずつと下の方の座敷には足踏み轟かして東京音頭を踊つて居るらしい一團がある。
— 寺田寅彦 『伊香保』 青空文庫
この長い手紙、と云ふよりもこの部厚な手記を前觸れもなく突然私の手から受け取つた時、お前がどんなに怪しんで胸を轟かすか、そして、またこの手記の一句一節を次第に辿つて行く時に、お前の心がどんなに痛み、どんなに悶えるか、それは私によく分つてゐる。
— 南部修太郎 『疑惑』 青空文庫
欣弥は平然として、「これからすぐに発とうと思う」「これから※」と白糸はさすがに心を轟かせり。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
大演説なぞと、いきり立ち、天地もゆらぐ程の空想に、ひとりで胸を轟かせ、はっと醒めては自身の虫けらを知り、頸をちぢめて消えも入りたく思うのだが、またむくむくと、せめて袴くらいは、と思う。
— 太宰治 『善蔵を思う』 青空文庫
その最初の喧嘩の際、汐田は卒倒せん許りに興奮して、しまいに、滴々と鼻血を流したのであるが、そのような愚直な挿話さえ、年若い私の胸を異様に轟かせたものだ。
— 太宰治 『列車』 青空文庫
その最初の喧嘩の際、汐田は卒倒せん許りに興奮して、しまひに、滴々と鼻血を流したのであるが、そのやうな愚直な※話さへ、年若い私の胸を異樣に轟かせたものだ。
— 太宰治 『列車』 青空文庫