郡内
ぐんない
名詞
標準
文例 · 用例
吉田だけは、江戸時代から、郡内の甲斐絹の本場を控えて、旅人の交通が繁かっただけあって、山の坊のさびしさが漂うと共に、宿場の賑わいをも兼ねて見られる。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
天鵝絨の括枕を横へ取って、足を伸して裙にかさねた、黄縞の郡内に、桃色の絹の肩当てした掻巻を引き寄せる、手が辷って、ひやりと軽くかかった裏の羽二重が燃ゆるよう。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
彼は四五日前から横堀駅に泊りがけで、この界隈に在る、小町の父親小野|良実の居城の跡の桐木田やら小町の母親の実家町田氏の居館の跡の泉沢やら、およそ小町に因みのある雄勝郡内の古蹟を踏査してみた。
— 岡本かの子 『小町の芍薬』 青空文庫
この川ともう一つ川を越した東京寄りのE――郡内に女塚というのが七つある。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
どれも藍縞の郡内絹、もちろんお綾さん、と言いました、少い人の夜のもの……そのかわり蚊帳は差上げません。
— 泉鏡花 『星女郎』 青空文庫
間早な事は、二階にもう鉄の火鉢に、郡内の座蒲団が二枚直してあった。
— 泉鏡花 『卵塔場の天女』 青空文庫
おごつた、黄じまの郡内である。
— 泉鏡太郎 『火の用心の事』 青空文庫
大森林の木魂を驚した響きはやがて入江の波上に鳴り渡り、曉天數里の郡内に傳はつた。
— 伊藤左千夫 『古代之少女』 青空文庫