襟巻
えりまき
名詞
標準
文例 · 用例
八月の炎天というのに、黒|羅紗の外套を着る、毛糸の襟巻をする、革の手袋をはめる、かくして岩頭に金剛杖をブッ立て、日の出の大観を眺めていた。
— 小島烏水 『奥常念岳の絶巓に立つ記』 青空文庫
久留米絣の着物にハンチング、濃紺の絹の襟巻を首にむすんで、下駄だけは、白く新しかった。
— 太宰治 『姥捨』 青空文庫
日中は梅の香も女の袖も、ほんのりと暖かく、襟巻ではちと逆上せるくらいだけれど、晩になると、柳の風に、黒髪がひやひやと身に染む頃。
— 泉鏡花 『妖術』 青空文庫
私あ若気だ、襟巻で顔を隠して、睨むように二人を見たのよ、ね。
— 泉鏡花 『歌行燈』 青空文庫
――迷児の、迷児の、迷児やあ―― 呼ばわり連れると、ひょいひょいと三人出た……団粟ほどな背丈を揃えて、紋羽の襟巻を頸に巻いた大屋様。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
」「ああ、襟巻なんか取らんでも可い。
— 泉鏡花 『第二菎蒻本』 青空文庫
濃緑の襟巻に頬を深く、書生羽織で、花月巻の房々したのに、頭巾は着ない。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
渠は高野山に籍を置くものだといつた、年配四十五六、柔和な、何等の奇も見えぬ、可懐い、おとなしやかな風采で、羅紗の角袖の外套を着て、白のふらんねるの襟巻を占め、土耳古形の帽を冠り、毛糸の手袋を箝め、白足袋に、日和下駄で、一見、僧侶よりは世の中の宗匠といふものに、其よりも寧ろ俗歟。
— 泉鏡太郎 『高野聖』 青空文庫