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引き寄せ

ひきよせ
名詞
1
標準
文例 · 用例
母なる人は無言にたって、芳輔の手を捕えて父の近くへ引き寄せた。
伊藤左千夫 老獣医 青空文庫
良さん今朝の指輪はめて下さいましたかと云ふ声の細さよ答へは胸にせまりて口にのぼらず無言にさし出す左の手を引き寄せてじつとばかり眺めしが。
樋口一葉 闇桜 青空文庫
船長は、まるで、ばかにしたような態度を、要求書へ向けていたのだが、今では、それが非常に尊いものででもあるように、チーフメーツの前から、自分の前へ引き寄せて、ながめ初めたのであった。
葉山嘉樹 海に生くる人々 青空文庫
横にあった火鉢を正面に引き寄せて、両手で火鉢の縁を押えて、肩を怒らせた。
太宰治 花吹雪 青空文庫
そして、抑へようとすればする程ぴくぴく顫へ出してくる脣を噛みながら、お前の、宛で穴の底から反響してくるとでも云ひたい、陰氣な餘韻を殘して行く数へ聲に引き寄せられて、二、三、四、五‥‥‥と口の中で追ひ續けてゐたのだつた。
南部修太郎 疑惑 青空文庫
そして、縮こめた女の體をぐいと自分の胸に引き寄せて、二度目の接吻を交したかと思ふと、二人は身を搖す振つて一時に笑ひさざめいた。
南部修太郎 ハルピンの一夜 青空文庫
そして、私の前に引き寄せた椅子の上に火鉢を降すと、それを挾んで私と向ひ合せに腰を降した。
南部修太郎 ハルピンの一夜 青空文庫
」 さう答へて玄関にあがると、機嫌のいい時にするいつもの癖で、青木さんは小|柄な奧さんの體を軽く引き寄せながら、そのくちびるに短い接ぷんを與へた。
南部修太郎 青空文庫