築泥
ついひじ
名詞
標準
mud wall with a roof
文例 · 用例
是より先きわれは四井街の邊を過ぐるごとに、この尼寺の築泥の蔭にこそ、わが嘗て抱き慰めし姫君は居給ふなれ、今はいかなる姿にかなり給ひしと、心の内におもひ續けざることなかりき。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
我足の尼寺の築泥の外に通ふこと愈切に、われはこの通路の行末いかになるべきかを危まざること能はざるに至りぬ。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
「そのわっぱはな、わしが午ごろ鐘楼から見ておると、築泥の外を通って南へ急いだ。
— 森鴎外 『山椒大夫』 青空文庫
松明の行列が寺の門を出て、築泥の外を南へ行くのを、鐘楼守は鐘楼から見て、大声で笑った。
— 森鴎外 『山椒大夫』 青空文庫
新藥師寺へ行く途中の、くづれた築泥がちの道などは好きで何度も歩いたが、私はそこを通りながら思ひがけず伊勢物語の一節などをなつかしく思ひ出すやうな氣分にさせられるやうなことはあつても、家持の歌ひとつ浮んで來なかつた。
— 堀辰雄 『黒髮山』 青空文庫
大臣、参議の思いものや、夫婦仲のいい判官や府生の北ノ方、得度したばかりの尼君、というふうにむずかしければむずかしいほどいいので、これと見こんだら、尼寺の築泥も女院の安主も、泰文を食いとめることができない、かならず奇怪な手段で成功した。
— 久生十蘭 『無月物語』 青空文庫
道がだんだん郊外の淋しい所へはいって行くと、石の多いでこぼこ道の左右に、破れかかった築泥が続いている。
— 和辻哲郎 『古寺巡礼』 青空文庫
幼いころこういう築泥を見なれていた自分には、さらにその上に追懐から来る淡い哀愁が加わっているように思われる。
— 和辻哲郎 『古寺巡礼』 青空文庫
作例 · 標準
古い寺院の周りには、歴史を感じさせる瓦屋根の付いた立派な築泥が続いている。
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「この築泥の質感、やっぱり現代の壁とは趣が違うね」と建築好きの友人が感嘆した。
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雨風にさらされて剥がれ落ちた築泥の一部が、時の流れを物語っていた。
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