残少
ざんしょう
名詞
標準
文例 · 用例
蝶吉は残少になった年期に借り足して、母親を見送ってからは、世に便なく、心細さの余、ちと棄身になって、日頃から少しは飲けた口のますます酒量を増して、ある時も青楼の座敷で酔った帰りに、夜更けて京町の夜露の上に寝倒れた。
— 泉鏡花 『湯島詣』 青空文庫
然るに去年の暮、例の女丈夫は教師に雇われたとかで退塾してしまい、その手に属したお茶ッぴい連も一人去り二人|去して残少なになるにつけ、お勢も何となく我宿恋しく成ッたなれど、まさかそうとも言い難ねたか、漢学は荒方出来たと拵らえて、退塾して宿所へ帰ッたは今年の春の暮、桜の花の散る頃の事で。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
暑中休暇も残少なになった。
— 森鴎外 『鶏』 青空文庫
四郎時貞、五奉行等と議して、「我が弾丸兵糧も残少なくなって来た。
— 菊池寛 『島原の乱』 青空文庫
残少なの水も一滴残さず飲干して了った。
— ガールシン 『四日間』 青空文庫
そこで何かと忙しい思をしている中に、いつか休暇も残少なになった。
— 芥川龍之介 『西郷隆盛』 青空文庫
兎に角、談柄はそれからそれへと移つて、酒も肴も残少になつた時分には、某と云ふ侍|学生が、行縢の片皮へ、両足を入れて馬に乗らうとした話が、一座の興味を集めてゐた。
— 芥川龍之介 『芋粥』 青空文庫
これまでは出所の好い、時代のあるのが、樽を並べて積み上げて、穴蔵にありましたのに、皆様が引切もなくお飲になるので、もうそろそろ残少になって来ました。
— FAUST. EINE TRAGODIE 『ファウスト』 青空文庫