表庭
おもてにわ
名詞
標準
文例 · 用例
家中が珍しくしんとして表庭の方で虫の音が高く聞えていた。
— 寺田寅彦 『小さな出来事』 青空文庫
十坪程の表庭の草木は、硝子箱の中の標本のように、くっきり茎目立って、一きわ明るい日暮れ前の光線に、形を截り出されている。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
一心を口笛の音に集中した京子の外界に向く眼は、空洞のように表庭に面した窓に直面した。
— ――二つの連作―― 『春』 青空文庫
するとその眼の底の網膜には、外界との境の壁や窓ガラスを除外して直接表庭の敷石の上に此方を向いて佇立する大学生服の男の姿がはっきり映った。
— ――二つの連作―― 『春』 青空文庫
そして畳の上でそれを履き、今度は思い切って窓の閾へ下駄の歯を当てると、体の重味に反比例した軽い反動で訳もなく表庭の芝笹の上へ降り立った。
— ――二つの連作―― 『春』 青空文庫
加奈子は、表庭に一ぱい散って居た桜の花片を想い出した。
— ――二つの連作―― 『春』 青空文庫
捕手は皆|焔を避けて、板塀の戸口から表庭へ出た。
— 森鴎外 『大塩平八郎』 青空文庫
縁側に出て見れば、裏庭は表庭の三倍位の広さである。
— 森鴎外 『鶏』 青空文庫