戯性
たわむれせい
名詞
標準
文例 · 用例
ともすれば反し、逆らひ、愕ろかす時の悪戯性から見れば、それはまことに稀れに見る、やさしい「時」の慈母に守られてきた姿ではなかつたらうか。
— 鷹野つぎ 『時』 青空文庫
シルレルなどの樣に、文藝を解釋するに、人間の遊戯性を以つて來るのは、僕とは正反對である。
— 岩野泡鳴 『神秘的半獸主義』 青空文庫
ところが、文学の仕事というものは明治二十年代の日本で、硯友社が繁栄を極めていた程度の遊戯性で一般からみられていて、作家が歴史に負うている責任をその文学的業績のうちに見るというような水準まで来ていなかったから、二葉亭の作品は一部に高く評価されつつ、一般受けはしなかった。
— ――二葉亭四迷の悲劇にもふれて―― 『生活者としての成長』 青空文庫
またどうかすると、その男は自分の機知の遊戯性につり込まれて、自分に嫌疑をかけている相手を愚弄し始めるんです。
— フョードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキー 『罪と罰』 青空文庫
それでも、お雪ちゃんその人には、感謝はできないながら、悪意を持つことまではできないで、そうしておのずからその残虐なる遊戯性が、この子の前では、萌して来ないことを不思議と言えるでしょう。
— 勿来の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
そのうちに不気味な快戯性をあらわし、自分の寝台のほうへ這って行って膃肭獣をひきだすと、いとしくてたまらぬというふうに、ひき倒したり転がしたり、正視しかねるような狂態を演じはじめた。
— 久生十蘭 『海豹島』 青空文庫
こういうのを児戯性というのかな。
— その三 精神病診断書 『安吾人生案内』 青空文庫
これだけのくりかえしですが、小松の頭脳機質は雨にはもっとも清明し、曇天の日はこれにつぎ、快晴の日はいちじるしく快戯性を帯びてきて終日落着かず熟慮困難の症状をあらわすようでした。
— 久生十蘭 『ハムレット』 青空文庫