女歌舞伎
おんなかぶき
名詞
標準
girls' kabuki
文例 · 用例
別れの淵といふ名は、海の潮と川水の相逢ふ場所からの名で、古くから遊女歌舞伎たち、ここに船をうかべて宴を催し、「江戸雀」には、納凉の地といひ、舟遊びの船に、波のつづみ、風のささら(びん簓を言ひかけてか)芦の葉の笛吹きならしとある。
— 長谷川時雨 『花火と大川端』 青空文庫
呉羽之介、女歌舞伎宇喜川お春と初恋する事 呉たけの根岸の里の秋|闌けて、片里が宿の中庭の、花とりどりなる七草に、櫨の紅葉も色添えて、吹く風冷やけき頃とはなりました。
— 三上於兎吉 『艶容万年若衆』 青空文庫
その女は名も知れぬ、つまらぬ歌舞伎役者でございます……」「なになに、女歌舞伎……」 と片里は稍々興ざめ顔に、「したが女役者にしても当時知られた女もある……そなたの恋人は何という名じゃ」「私より外世の人が、その名を知っていようとは思われませぬ。
— 三上於兎吉 『艶容万年若衆』 青空文庫
宗春は城内へ女歌舞伎を呼んだ。
— 国枝史郎 『天主閣の音』 青空文庫
「素性も知れぬ香具師などを、お側へお近付けなされぬよう」「女歌舞伎の太夫などを、側室にお使いなされぬよう」――精々こんなようなことでも云って、諫言するより仕方なかった。
— 国枝史郎 『天主閣の音』 青空文庫
小屋掛けではあるが大変な人気の、両国広小路にこの頃出来た、吉沢一座の女歌舞伎、その座頭の扇女なのであった。
— 国枝史郎 『前記天満焼』 青空文庫
女歌舞伎禁令後に栄えたのは、美少年を主役とする若衆歌舞伎である。
— 岸田國士 『演劇と政治』 青空文庫
暫く事を歴史に徴するに、わが劇場の濫觴たる女歌舞伎の舞踊は風俗を乱すの故を以て寛永六年に禁止せられ、次に起りし美少年の若衆歌舞伎もまた男色の故を以て承応元年に禁止せられて野郎歌舞伎となりぬ。
— 永井荷風 『江戸芸術論』 青空文庫