女の手
おんなのて
表現名詞
標準
feminine handwriting
文例 · 用例
T「何だ 貴様ァ」 その声に団九郎、少し驚いたが、女の手前威張って言った。
— 山中貞雄 『武蔵旅日記』 青空文庫
そして、切り取つた一枚を指の間に挾んで持ちながら女の手もとを見ると、また同じやうに指の間に挾んでゐた。
— 梶井基次郎 『『新潮』十月新人號小説評』 青空文庫
その女は、すつかり彼女自身のなかに、彼女の手のずつとなかまで、もぐり込んでゐた。
— ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 『「マルテ・ロオリッツ・ブリッゲの手記」から』 青空文庫
口中や咽喉を極力無感覚に制御したつもりだが嚥み下した喰べものが、母親以外の女の手が触れたものと思う途端に、胃嚢が不意に逆に絞り上げられた――女中の裾から出る剥げた赤いゆもじや飯炊婆さんの横顔になぞってある黒|鬢つけの印象が胸の中を暴力のように掻き廻した。
— 岡本かの子 『鮨』 青空文庫
ガンダラ彫刻した夜の女の手が闇から出て私をシセロの居酒屋に引張ると足とも手ともつかぬ黒い肉体を蛇のように私の首に巻きつけて、蛇酒を調合したソーマ酒の杯をかちあわして一気にあおってしまった。
— 吉行エイスケ 『孟買挿話』 青空文庫
皺だらけの私の寝室をノックする音がして、暗闇から出た女の手が、楕円形の天井をみつめていた私の目前で葡萄蔓のようにからんで、青いリノリウムのうえにMELINSの扱帯が夜光虫のように円をつくると、私は断截された濡れた頭髪を腕の中に感じて、いつのまにか恋愛のマッフのなかに、ひとときの安息を求めた。
— 吉行エイスケ 『大阪万華鏡』 青空文庫
そして、私は女の手振をぢつと眺めてゐる。
— 南部修太郎 『阿片の味』 青空文庫
二 むらさきの鯉は怪しい女の手によって、台所のあげ板の下から持ち出された。
— むらさき鯉 『半七捕物帳』 青空文庫
標準
woman's hand