手古舞
てこまい
名詞
標準
文例 · 用例
踊り屋台、手古舞、山車、花火、三島の花火は昔から伝統のあるものらしく、水花火というものもあって、それは大社の池の真中で仕掛花火を行い、その花火が池面に映り、花火がもくもく池の底から涌いて出るように見える趣向になって居るのだそうであります。
— 太宰治 『老ハイデルベルヒ』 青空文庫
元日から店びらきしょ思て、そら天手古舞しましたぜ」 場所がいいのか、老舗であるのか、安いのか、繁昌していた。
— 織田作之助 『神経』 青空文庫
ちょうど花見時で、おまけに日曜、祭日と紋日が続いて店を休むわけに行かず、てん手古舞いしながら二日商売をしたものの、蝶子はもう慾など出している気にもなれず、おまけに忙しいのと心配とで体が言うことを利かず、三日目はとうとう店を閉めた。
— 織田作之助 『夫婦善哉』 青空文庫
実に無量の、また極度の迅速生産である事実が、次の室へ移ってもまた、幾百の女の二十日鼠がいかに天手古舞であることか。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫
ために白蟻大いに繁昌し、ついに紀三井寺から和歌山城の天主閣まで食い込み、役人らなすところを知らず天手古舞を演じ、硫黄で燻べんとか、テレビン油を撒かんとか、愚案の競争の末、ついにこのたび徳川侯へ払い下げとなったが、死骸を貰うた同前で行く先も知れておる。
— 南方熊楠 『神社合祀に関する意見』 青空文庫
土曜日の十五日で、店は転手古舞の忙しさであつた、おまけにおつねが留守のため、手が足りなく、ぼうつとして九時すぎ料理場で立つたままおそい夕飯を食べてゐると、帳場にゐた豊太郎が眼顔で、早く二階へ昇つて了へと教へてゐるのだ、え、と聞きかへして、はつとした、店の方から、新吉の乱暴な言葉が伝つて来た。
— 武田麟太郎 『一の酉』 青空文庫
牡丹屋の亭主の話によると、神輿はもとより、山車、手古舞、蜘蛛の拍子舞などいう手踊りの舞台まで張り出して、できるだけ盛んにその祭礼を迎えようとしている。
— 第一部上 『夜明け前』 青空文庫
町々には山車、踊屋臺などが造られ、手古舞まで出るといふ噂のあつた程で、鼻の先の金色に光る獅子の後へは同じ模樣の衣裳を着けた人達が幾十人となく隨いて、手に/\扇を動かし乍ら、初夏の日のあたつた中を揃つて通りました。
— 島崎藤村 『幼き日』 青空文庫