搗き立て
つきたて
名詞
標準
文例 · 用例
彼の眼には真佐子のやや、ぬきえもんに着た襟の框になっている部分に愛蘭麻のレースの下重ねが清楚に覗かれ、それからテラコッタ型の完全な円筒形の頸のぼんの窪へ移る間に、むっくりと搗き立ての餅のような和みを帯びた一堆の肉の美しい小山が見えた。
— 岡本かの子 『金魚撩乱』 青空文庫
石コロもあれば、搗き立ての餅もあります」日頃の主人に似合わぬ冗談口だった。
— 織田作之助 『世相』 青空文庫
なにしろ大勢がわいわい云って餅を搗き立てるのであるから、近所となりに取っては安眠妨害である。
— 岡本綺堂 『綺堂むかし語り』 青空文庫
搗き立ての伸し餅を、金巾に包んだように、綿は綿でかたまって、表布とはまるで縁故がないほどの、こちこちしたものである。
— 夏目漱石 『坑夫』 青空文庫
」と、お駒までが面皰のことを話しかけて、其の白く眞ん圓い顏を撫で※しつゝ、パツチリと鈴を張つたやうな眼を光らして、幼い自分の搗き立ての餅のやうな膚理の細い顏を覗き込んだ。
— 上司小劍 『父の婚禮』 青空文庫
気取ったおかず婆さんからは、餡がお気に召すまいからと云って、唯搗き立てをちぎったまゝで一重よこす。
— 徳冨健次郎 『みみずのたはこと』 青空文庫
世間では專らそんな事を言つて居ます」「何が專らだえ、馬鹿々々しい」「相濟みません、――ところで話は元へ戻つて、秋岳先生の愛妾お照の方、年は二十四で、聊か傳法で、搗き立ての羽二重餅のやうにポチヤポチヤしたのが――」「――」 平次は默つてしまひました。
— 軍學者の妾 『錢形平次捕物控』 青空文庫
親分の勘兵衞は五十二で、鰐口に丁髷を結はせたやうな醜男だが、妾のお關は二十一、搗き立ての餅のやうに柔かくて色白で、たまらねえ愛嬌のある女だ。
— 妾の貞操 『錢形平次捕物控』 青空文庫