策子
さくし
名詞
標準
文例 · 用例
本来ならこの散策子が、そのぶらぶら歩行の手すさびに、近頃|買求めた安直な杖を、真直に路に立てて、鎌倉の方へ倒れたら爺を呼ぼう、逗子の方へ寝たら黙って置こう、とそれでも事は済んだのである。
— 泉鏡花 『春昼』 青空文庫
散策子は踵を廻らして、それから、きりきりはたり、きりきりはたりと、鶏が羽うつような梭の音を慕う如く、向う側の垣根に添うて、二本の桃の下を通って、三軒の田舎屋の前を過ぎる間に、十八、九のと、三十ばかりなのと、機を織る婦人の姿を二人見た。
— 泉鏡花 『春昼』 青空文庫
我が散策子は、其処を志して来たのである。
— 泉鏡花 『春昼』 青空文庫
咄嗟の間、散策子は杖をついて立窘んだ。
— 泉鏡花 『春昼』 青空文庫
」 散策子はここに少しく腕組みした。
— 泉鏡花 『春昼』 青空文庫
思わず、外の方を見た散策子は、雲のやや軒端に近く迫るのを知った。
— 泉鏡花 『春昼』 青空文庫
出家は、さて日が出口から、裏山のその蛇の矢倉を案内しよう、と老実やかに勧めたけれども、この際、観音の御堂の背後へ通り越す心持はしなかったので、挨拶も後日を期して、散策子は、やがて庵を辞した。
— 泉鏡花 『春昼後刻』 青空文庫
身の挙動が仰山で、さも用ありげな素振だったので、散策子もおなじくそなたを。
— 泉鏡花 『春昼後刻』 青空文庫