行服
ぎょうふく
名詞
標準
文例 · 用例
季節よりやや早目の花が、同じく季節よりやや早目の流行服の男女と色彩を調え合って、ここもすでに春だった。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
その代り探偵長ボリス・ナーデルが旅行服で乗って居た。
— 岡本かの子 『ドーヴィル物語』 青空文庫
スコッチの旅行服の襟が首から離れるほど胸を落として、一心不乱に考えごとをしながらも、気ぜわしなくこんな注意をするような父だった。
— 有島武郎 『親子』 青空文庫
その一歩うしろにさがって綸子白衣の行服に緋のはかまうちはきながら、口に怪しき呪文を唱えていた者は、これぞ妖艶そのもののごとき、尋ねる比丘尼行者でした。
— へび使い小町 『右門捕物帖』 青空文庫
入口の扉の側に立つてゐたのは折目の正しい、仕立おろしの流行服を着込むだ紳士だつた。
— 大正七(一九一八)年 『茶話』 青空文庫
若様は最前から……」 と云ううちに部屋の入口に並んでいる女たちを押分けて、スマートな旅行服の青年が颯爽と這入って来た。
— 夢野久作 『超人鬚野博士』 青空文庫
白茶気た羅紗の旅行服に、銀鼠色のフェルト帽を眉深く冠って、カンガルー皮の靴を音もなく運んで来た姿は、幽霊さながらの弱々しい感じである。
— 夢野久作 『人間レコード』 青空文庫
やおらモーニングの巨体を起して眼の前の安楽椅子に旅行服のままかしこまっている弱々しい禿頭の老人の眼の前にその号外を突付けた。
— 夢野久作 『人間レコード』 青空文庫