阿駒
阿駒
名詞
標準
文例 · 用例
妾が名は阿駒と呼びて、この天井に棲む鼠にて侍り。
— 巌谷小波 『こがね丸』 青空文庫
さてこの時より彼の阿駒は、再生の恩に感じけん、朝夕黄金丸が傍に傅きて、何くれとなく忠実に働くにぞ、黄金丸もその厚意を嘉し、情を掛て使ひけるが、もとこの阿駒といふ鼠は、去る香具師に飼はれて、種々の芸を仕込まれ、縁日の見世物に出し身なりしを、故ありて小屋を忍出で、今この古刹に住むものなれば。
— 巌谷小波 『こがね丸』 青空文庫
他頃日はわれ曹に狎みて、いと忠実に傅けば、そを無残に殺さんこと、情も知らぬ無神狗なら知らず、苟にも義を知るわが們の、作すに忍びぬ処ならずや」「実に御身がいふ如く、われも途すがら考ふるに、まづ彼の阿駒に気は付きたれど。
— 巌谷小波 『こがね丸』 青空文庫
二匹は思はず左右に分れ、落ちたるものを佶と見れば、今しも二匹が噂したる、かの阿駒なりけるが。
— 巌谷小波 『こがね丸』 青空文庫
鷲郎は急ぎ抱き起しつ、「こや阿駒、怎麼にせしぞ」「見れば面も血に塗れたるに、……また猫にや追はれけん」「鼬にや襲はれたる」「疾くいへ仇敵は討ちてやらんに」ト、これかれ斉しく勦はり問へば。
— 巌谷小波 『こがね丸』 青空文庫
阿駒は苦しき息の下より、「いやとよ。
— 巌谷小波 『こがね丸』 青空文庫
阿駒は潸然と涙を落し、「さても情深き殿たち哉。
— 巌谷小波 『こがね丸』 青空文庫
二匹の犬は初より耳|側てて、阿駒が語る由を聞きしが。
— 巌谷小波 『こがね丸』 青空文庫