水蝋
いぼた
名詞
標準
文例 · 用例
「だが、胡桃・巴旦杏・桃葉珊瑚・水蝋木犀の四本では、結局正方形になってしまうぜ」「いや、それが魚なんだよ」と法水は突飛な言を吐いた。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
塀にそって金いろの水蝋樹が芽をそろえていた。
— テムズに聴く 『踊る地平線』 青空文庫
があっという音が走ったかと、思うと、交通機関の咆哮がしいんと遠ざかって、水蝋樹の反映のなかを―― anyway、また雨だ。
— テムズに聴く 『踊る地平線』 青空文庫
苦学生に扮装したこの頃の行商人が横風に靴音高くがらりと人の家の格子戸を明け田舎訛りの高声に奥様はおいでかなぞと、ややともすれば強請がましい凄味な態度を示すに引き比べて昔ながらの脚半草鞋に菅笠をかぶり孫太郎虫や水蝋の虫箱根山山椒の魚、または越中富山の千金丹と呼ぶ声。
— 一名 東京散策記 『日和下駄』 青空文庫
「――広小路へ行つてね、イボタの虫つてものを買つて来て貰ひたいんだ」「イボタの虫つて……」「俺もよく知らないんだがね」と、兄は云ひ憎さうな調子で、「売薬だがね、好く利く薬なんださうだ。
— 中戸川吉二 『イボタの虫』 青空文庫
イボタの虫つて云ふもんなんだね」 私は、兄と目を見合して寂しく笑はずにはゐられなかつた。
— 中戸川吉二 『イボタの虫』 青空文庫
イボタの虫だなんて云ふ訳の解らない売薬が何で瀕死の病人に利くはずがあらう。
— 中戸川吉二 『イボタの虫』 青空文庫
イボタの虫なんて買ひに行くのはイヤだと駄々をこねようと思つたが、へんに唇が歪んで来るばかりで、口を利くことが出来なかつた。
— 中戸川吉二 『イボタの虫』 青空文庫