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対象物

たいしょうぶつ
名詞
1
標準
文例 · 用例
私はといへば、人生を己が野心の対象物と心得ても猶くたびれない程虎でもなく、かといつて己が信念なぞといふものは、格別形態を採る程湧き出ても来ぬ。
中原中也 散歩生活 青空文庫
「世は遷り人は代るが、人間の食意地は変らない」「食ものぐらい正直なものはない、うまいかまずいかすぐ判る」「うまさということは神秘だ」――それは人間の他の本能とその対象物との間の魅力に就てもいえることなのだが、鼈四郎がいうとき特にこの一味だけがそれであるように受取らせる。
岡本かの子 食魔 青空文庫
その始末の悪い人間が、心を落ちつけて、対象物を明瞭に視てつまるところ、人間の顔は眼が横につき鼻が竪についている、というような確実な正常な認識を得て一毛だも動ぜぬ人生の鑑識を備えます。
岡本かの子 仏教人生読本 青空文庫
しかしそれほど根本的な問題はしばらくおき、もう少し具体的な問題を取ってみると、各時代において物理学上の第一線の問題とみなされ、世界じゅうの学者が競って総攻撃をするような問題があり、そうしてその問題の対象物は時代から時代へと推移して行く。
寺田寅彦 物理学圏外の物理的現象 青空文庫
この技術によって観客の目は対象物の直前に肉薄する。
寺田寅彦 生ける人形 青空文庫
風にそよぐ稲田、露に浴した芋畑を自然観賞の対象物の中に数えるのが日本人なのである。
寺田寅彦 日本人の自然観 青空文庫
この子が、気の毒にも、僕の試験の対象物にせられた。
森鴎外 ヰタ・セクスアリス 青空文庫
僕なんぞと同級で、毎日馬に乗って通って来る蔭小路という少年が、彼等寄宿生達の及ばぬ恋の対象物である。
森鴎外 ヰタ・セクスアリス 青空文庫