覧者
らんしゃ
名詞
標準
文例 · 用例
絵巻物では、一つの場面から次の場面への推移は観覧者の頭脳の中で各自のファンタジーにしたがって進転して行く。
— 寺田寅彦 『映画時代』 青空文庫
尤もこんな事は美術とは何の関係もない事ではあるが、それでも感受性の鋭い型の観覧者に取っては、彼等が場内にはいって後に作品から受取る表象の同化異化作用に何らかの影響を及ぼさないものだろうか。
— 寺田寅彦 『帝展を見ざるの記』 青空文庫
批評でも書いてみようという成心を持っていない、通り一遍の観覧者の多数は、おそらくこういう感じを抱いて洋画の方へ移って行くに相違ない。
— 寺田寅彦 『帝展を見ざるの記』 青空文庫
かなりな作品があるのに観覧者の印象が空虚だとすれば罪は展覧会という無理な制度にあるのだろう。
— 寺田寅彦 『帝展を見ざるの記』 青空文庫
一九一七年一月二十八日、ロダンさんは自分の死期をお知りになったのか、オテル・ド・ロンに観覧者の列が続きました。
— 吉行エイスケ 『バルザックの寝巻姿』 青空文庫
巧妙にできた、かなり広い洞窟であるが、それがいま、オトギバナシの「桃太郎」の鬼が住んでいたところだと云われて、その島をも鬼ガ島と名づけ、遊覧者を引こうがための好奇心をそゝっている。
— 黒島傳治 『海賊と遍路』 青空文庫
そうして丹波の山奥から出て来た観覧者の目に映るような美しい影像はもう再び認める時はなくなってしまう。
— 寺田寅彦 『案内者』 青空文庫
向ふから二三|人連の観覧者が来る。
— 夏目金之助 『三四郎』 青空文庫