斜かい
はすかい
名詞
標準
文例 · 用例
カルメンの兵士も、意気な紳士達も、真赤な帽子を斜かいに被った闘牛士も目には映りませんでした。
— 吉行エイスケ 『バルザックの寝巻姿』 青空文庫
」 あろう事か、あっと頬げたを圧えて退る、道学者の襟飾へ、斜かいに肩を突懸けて、横押にぐいと押して、「何だ、何だ、何だ、何だと?
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
それがちょうど二人の座席から二列前の椅子で、ちょうどこっちからその頸筋と、耳と片頬と顎が斜かいに見えるような位置にあった。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫
」 女はそこから斜かいに見える二階座敷の板戸を繰っている、一人の若い女を見あげて笹村に教えた。
— 徳田秋声 『黴』 青空文庫
花苑を縦横に貫いている散歩路の所々には、列柱式の小亭や水神やサイキあるいは滑稽な動物の像が置かれてあって、赤煉瓦を斜かいに並べた中央の大路を、碧色の釉瓦で縁取りしている所は、いわゆる矢筈敷と云うのであろう。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
ホラ、像の頭から右斜かい上に五寸程の所と、左右の板壁に二つと――それを直線で結び付けると恰度屍体の頸筋辺で結び付くんだが――節穴が三つあるだろう。
— 小栗虫太郎 『後光殺人事件』 青空文庫
十四郎は、熱した脂肪の跳ねを、右眼にうけたと見えて、額から斜かいに繃帯していたが、そのかたわらに仔鹿を挾んで、くら、喜惣、滝人の三人が、寝転んでいる時江と向き合っていた。
— 小栗虫太郎 『白蟻』 青空文庫
しかし、兼常博士の室に入り、窓越しに対岸の一棟を見ると、斜かいに見える杏丸の実験室がこれも窓が、開け放たれているのに気がついた。
— 小栗虫太郎 『失楽園殺人事件』 青空文庫