梨子地
なしじ
名詞
標準
nashiji
文例 · 用例
其まはりには乾いた土が、蟻の塔のやうな明るい粒々で、梨子地の箒目を描いてゐた。
— 木下杢太郎 『本の装釘』 青空文庫
微曇りし空はこれが為に眠を覚されたる気色にて、銀梨子地の如く無数の星を顕して、鋭く沍えたる光は寒気を発つかと想はしむるまでに、その薄明に曝さるる夜の街は殆ど氷らんとすなり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
私は祖父の古い梨子地の裃というのも見ました。
— 鷹野つぎ 『虫干し』 青空文庫
それから、朱、青漆、朱うるみ、ベニガラうるみ、金|白檀塗り、梨子地塗りなど。
— 彫刻修行のはなし 『幕末維新懐古談』 青空文庫
梨子地には、焼金、小判、銀、錫、鉛(この類は梨子地の材料で金と銀とはちょっと見て分り兼ねる)。
— 彫刻修行のはなし 『幕末維新懐古談』 青空文庫
金梨子地のやうな火の粉が一しきり、ぱつと空へ上つたかと思ふ中に、猿は元より娘の姿も、黒煙の底に隠されて、御庭のまん中には唯、一輛の火の車が凄じい音を立てながら、燃え沸つてゐるばかりでございます。
— 芥川龍之介 『地獄変』 青空文庫
金梨子地のやうな火の粉が一しきり、ぱつと空へ上つたかと思ふ中に、猿は元より娘の姿も、黒煙の底に隱されて、御庭のまん中には唯、一輛の火の車が凄じい音を立てながら、燃え沸つてゐるばかりでございます。
— 芥川龍之介 『地獄變』 青空文庫
と、梨子地のように降って来た。
— 国枝史郎 『猫の蚤とり武士』 青空文庫