蛇穴
じゃあな
名詞
標準
文例 · 用例
な、買うて来るついではあって、一夜祈はあげたけれど、用の間が忙しゅうて、夜さり高津の蛇穴へ放しに行く隙がない、頼まれて欲い――云うて、美津さんに託きょう、とそれが用で顔見に行かはった云うたやないか。
— 泉鏡花 『南地心中』 青空文庫
呪師羊の角もて呪したがなかなか出で来ぬから、更に犢子の前に火を燃して呪するとその火蜂と化って蛇穴に入った黒蛇蜂に螫され痛みに堪えず、穴を出でしを羊角で抄うて呪師の前に置いた。
— 蛇に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
この蛇穴に少しばかり首をさし入れたらんには、いかに引き出さんとすれども出る事なし。
— 蛇に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
たとえば南葛城郡の一区域をサラギと呼び始めた人と、そのサラギに蛇穴という漢字を宛てた人とは、祖父母と孫との続きだったかも知れぬし、またもっと離れていたかも知れぬ。
— 柳田國男 『和州地名談』 青空文庫
ちょうど適切な例だからサラギ蛇穴の問題に触れるが、決して野村さんの説を駁する意味ではない。
— 柳田國男 『和州地名談』 青空文庫
同じく前代大和人の判断を、推測せしめる痕跡とはいいながら、土地をサラギと呼び始めたのも一つの事実、それに蛇穴の字を用いることにしたのもまた一つの別の事実で、私はこの間にかなりの歳月があったものと思っている。
— 柳田國男 『和州地名談』 青空文庫
七 サラキもしくはサラギに蛇穴の二字を宛てるというのも、そうなってからでないとできぬことであろう。
— 柳田國男 『和州地名談』 青空文庫
土器の一種にサラキのあることはすでに忘れ、蛇穴をサラギというようになった時代でないと、ただ単独にこんな文字を用いても、通用するはずはないと私は思う。
— 柳田國男 『和州地名談』 青空文庫