手船
てぶね
名詞
標準
文例 · 用例
この二艘の大船こそ、誰あろうときの大守、十代津軽矩広を乗せて、三馬屋の泊から船出した、長者丸、貞松丸という吉例の手船なのである。
— 宮本百合子 『津軽の虫の巣』 青空文庫
歴代の津軽公は、参勤交代で江戸表への上下には、必らずこの二艘の手船で、津軽の海を超える慣例になっている。
— 宮本百合子 『津軽の虫の巣』 青空文庫
御手船が見えたという報告は、今まで深い眠りに入っていたような城下を、一時にハッと目醒ました。
— 宮本百合子 『津軽の虫の巣』 青空文庫
妻の資子と娘の行子は、一日前に目立たぬように手船で淀へ送った。
— 久生十蘭 『うすゆき抄』 青空文庫
集中、松浦船・伊豆手船・足柄小船などいふあるも、みなこの類とすべし」とあり、「浦回榜ぐ熊野舟つきめづらしく懸けて思はぬ月も日もなし」(巻十二・三一七二)の例がある。
— 斎藤茂吉 『万葉秀歌』 青空文庫
薩摩様でも細川様でも、藩のお手船だけでは足りはしない。
— 円明の巻 『宮本武蔵』 青空文庫
「隠岐ノ判官の船手にちがいないぞ」「すわ、追手船だ」「油断すな」 船上の人影は、すぐ逃げ支度のため、帆綱や舵へ跳びついていた。
— 八荒帖 『私本太平記』 青空文庫
初め、追手船が迫ったと知ったせつな、小宰相はすぐ帝のいる船底の口へ逃げようとしかけた。
— 八荒帖 『私本太平記』 青空文庫