実事
じつごと異読 じつじ
名詞
標準
fact
文例 · 用例
殊に会話受持のチャペルという教師は、非常に点数の辛い人であるから、会話の成績が悪いとあるいは落第するかも知れぬと実事虚事打混ぜて哀訴嘆願に及ぶと、案じるよりも産むが易く、ヘボンの字書なら買ってもいいということになって、すぐに二円五十銭を渡された。
— 岡本綺堂 『一日一筆』 青空文庫
孔子のいわゆる道は空虚に属するよりも実事に属す方が多い。
— 幸田露伴 『一貫章義(現代訳)』 青空文庫
東洋の書籍にも猴の珍談随分多いが、詰まらない嘘その半ば以上を占めるが、また西人が気付かぬ実事も少なからず載りたれば、十分|稽査に値いする。
— 猴に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
彼は、団十郎が一流編み出したと云う荒事を見て、何と云う粗野な興ざめた芸だろうと思って、彼の腹心の弟子の山下京右衛門が、「太夫様、団十郎の芸をいかが思召さる、江戸自慢の荒事とやらをどう思召さる」と訊いた時、彼は慎ましやかな苦笑を洩しながら「実事の奥義の解せぬ人達のする事じゃ。
— 菊池寛 『藤十郎の恋』 青空文庫
また実事の面白さの解せぬ人達の見る芝居じゃ」と、一言の下に貶し去った。
— 菊池寛 『藤十郎の恋』 青空文庫
実事物語としてかいてありましたが、どうもその方の価値は乏しい。
— 夏目漱石 『創作家の態度』 青空文庫
処がこの実証的な現実事物が実在するということは、時間的に一定の経過法則を持って在ることを指す他ないのである。
— 戸坂潤 『技術的精神とは何か』 青空文庫
その意味で、生産の現実事情が、集団間の関係としての政治をきめたし、歌うこころもちの波の高低も、おのずから、その社会の生きるやりかたによって、ニュアンスをちがえたことは疑えない。
— 宮本百合子 『作家の経験』 青空文庫
作例 · 標準
小説のモデルとなった人物が、本の中で語られている内容はすべて実事だと証言した。
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歴史家は、伝承の中に隠された実事を掘り起こすために古い古文書を精査している。
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法廷では、感情的な推測よりも客観的な実事に基づいて議論を進めるべきだ。
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標準
realistic portrayal of an ordinary event (by a wise man)
作例 · 標準
その歌舞伎の演目は、当時の庶民の生活をありのままに描いた実事として高く評価された。
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師匠は「芸には虚実の境目があるが、この場面は実事として演じなさい」と説いた。
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近松の世話物は、心中という極限状態を実事のリアリティを持って描き出している。
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