添
添
名詞
標準
文例 · 用例
かく話を添えられた、先生はよほど労れていらるる様子であるのに、こんな複雑な問題について長話をするのよくないことは知れきっているのであるから、予はここでこの問題についての話は止めてしまった、跡は母堂を相手に世間話を始めたような次第でその夜は常のごとく十時まで居って帰宅したのである。
— 伊藤左千夫 『竹乃里人』 青空文庫
投げ出してるわが子の足に自分の手を添えその足をわが顔へひしと押し当てて横顔に伏している妻は、埋葬の話を聞いてるか聞いていないか、ただ悲しげに力なげに、身をわが子の床に横たえている。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
妻は相変わらず亡き人の足のあたりへ顔を添えてうつぶしている。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
火気の満たる室にて頸やいたからん、振あぐる鎚に手首や痛からん」 女は破れ窓の障子を開らきて外面を見わたせば、向ひの軒ばに月のぼりて、此処にさし入る影はいと白く、霜や添ひ来し身内もふるへて、寒気は肌に針さすやうなるを、しばし何事も打わすれたる如く眺め入て、ほと長くつく息、月かげに煙をゑがきぬ。
— 樋口一葉 『軒もる月』 青空文庫
千里のほかまでと思ひやるに、添ひても行れぬ物なれば唯うらやましうて、これを仮に鏡となしたらば、人のかげも映るべしやなど、果敢なき事さへ思ひ出でらる。
— 樋口一葉 『あきあはせ』 青空文庫
旅寐の床、侘人の住家、いづれに聞ても物おもひ添ふる種なるべし。
— 樋口一葉 『あきあはせ』 青空文庫
女は破れ窓の障子を開きて外面を見わたせば、向ひの軒ばに月のぼりて、此處にさし入る影はいと白く、霜や添ひき來し身内もふるへて、寒氣は肌に針さすやうなるを、しばし何事も打わすれたる如く眺め入りて、ほと長くつく息月かげに煙をゑがきぬ。
— 樋口一葉 『軒もる月』 青空文庫
だが、玲子は、そのスラリと長い脚で……片山氏が、離れようとすればするほど寄り添つて、すれずれに歩いた」。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫