香染め
こうぞめ
名詞
標準
文例 · 用例
蓮葉を同じうてなと契りおきて露の分かるる今日ぞ悲しき 硯に筆をぬらして、香染めの宮の扇へお書きになった。
— 鈴虫 『源氏物語』 青空文庫
この際に喪の色を不吉として、なるべく目につかぬようにこの室の東のほうには屏風を立て、中央の室との仕切りの所には香染めの几帳を置いて、目に立つ巻き絵物などは避けた沈の木製の二段の棚などを手ぎわよく配置してあるのは皆|大和守のしたことであった。
— 夕霧二 『源氏物語』 青空文庫
当の良秀は稍離れて、丁度御縁の真向に、跪いて居りましたが、これは何時もの香染めらしい狩衣に萎えた揉烏帽子を頂いて、星空の重みに圧されたかと思ふ位、何時もよりは猶小さく、見すぼらしげに見えました。
— 芥川龍之介 『地獄変』 青空文庫
當の良秀は稍離れて、丁度御縁の眞向に、跪いて居りましたが、これは何時もの香染めらしい狩衣に萎えた揉烏帽子を頂いて、星空の重みに壓されたかと思ふ位、何時もよりは猶小さく、見すぼらしげに見えました。
— 芥川龍之介 『地獄變』 青空文庫
」 清正は香染めの法衣に隠した戒刀の※へ手をかけた。
— 芥川龍之介 『金将軍』 青空文庫
」「うむ、見せえ、大智識さ五十年の香染の袈裟より利益があっての、その、嫁菜の縮緬の裡で、幽霊はもう消滅だ。
— 泉鏡花 『縷紅新草』 青空文庫
――当寺の老和尚が、香染の法衣をばさばさと音さして、紫の袈裟を畳んだままで、肱に掛けた、その両手に、太杖を屈づきに、突張って、馴れて烏の鳴く樹の枝下へ立つと、寺男が、背後から番傘をさしかけた。
— 泉鏡花 『卵塔場の天女』 青空文庫
間もなく香染の衣を着た坊さんが、鬚の二分程延びた顔をして這入って来た。
— 森鴎外 『独身』 青空文庫