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弥蔵

やぞう
名詞
1
標準
文例 · 用例
へッ、」 と唐突に毒を吐いたは、立睡りで居た頬被りで、弥蔵の肱を、ぐいぐいと懐中から、八ツ当りに突掛けながら、「人、面白くもねえ、貴方様お掛け遊ばせが聞いて呆れら。
泉鏡花 陽炎座 青空文庫
パナマの帽を前下り、目も隠れるほど深く俯向いたが、口笛を吹くでもなく、右の指の節を唇に当て、素肌に着た絹セルの単衣の衣紋を緩げ――弥蔵という奴――内懐に落した手に、何か持って一心に瞻めながら、悠々と歩を移す。
泉鏡花 黒百合 青空文庫
嫡男新三郎水没し、次男弥蔵|出藍の誉れあり、江州佐和山石田三成に仕え、乱後身を避け高野山に登り、後吉野の傍に住す。
国枝史郎 八ヶ嶽の魔神 青空文庫
こいつあ面白いな」 と、言う呑気な声が聞えて、やがて、人山を割って、一人の職人とも、遊び人ともつかないような風体の、縞物の素袷の片褄をぐっと、引き上げて、左手を弥蔵にした、苦みばしった若者が現れた。
三上於菟吉 雪之丞変化 青空文庫
いい気持そうに、弥蔵をきめて、いくらか、皺枯れた、錆た調子で、たまさかに一座はすれど忍ぶ仲晴れて顔さえ見交わさずまぎらかそうと自棄で飲むいっそしんきな茶碗酒雪になりそな夜の冷え などと、呑気そうな、隆達くずしが、しんしんと、更け渡るあたりの静けさを、寂しく破るのだった。
三上於菟吉 雪之丞変化 青空文庫
闇太郎、弥蔵を解いて、片手で、癖の顎の逆撫でをやりながら、ブツブツと、口に出してつぶやきはじめた。
三上於菟吉 雪之丞変化 青空文庫
本所の化物屋敷と呼ばれるこの家に今宵とぐろをまいている連中は、元小十人、身性が悪いので誘い小普請入りをいいつかっている土生仙之助を筆頭に、いずれも化物に近い変り種ばかりで、仙之助は、着流しのうしろへ脇差だけを申しわけにちょいと横ちょに突き差して肩さきに弥蔵を立てていようという人物。
乾雲坤竜の巻 丹下左膳 青空文庫
十六 お雪ちゃんが帰ったあと、北原賢次は、黍を煮ている鍋を下ろして、大鉄瓶とかけかえ、小鳥籠を前にしてぼんやりと、火にあたっているところへ、村田寛一が、胸に弥蔵をこしらえながら、ブラリとはいって来ました。
年魚市の巻 大菩薩峠 青空文庫