身動ぎ
みじろぎ
名詞
標準
文例 · 用例
お妙はその状を見定めると、何を穿いたか自分も知らずに、スッと格子を開けるが疾いか、身動ぎに端が解けた、しどけない扱帯の紅。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
「お逢いなさいまし、ほほほ、ねえ、お浜、」 と女房は暗い納戸で、母衣蚊帳の前で身動ぎした。
— 泉鏡花 『海異記』 青空文庫
」 余り尋常な、ものいいだったが、「は、」と、呼吸をひいて答えた紫玉の、身動ぎに、帯がキと擦れて鳴ったほど、深く身に響いて聞いたのである。
— 泉鏡花 『伯爵の釵』 青空文庫
この身動ぎに、七輪の慈姑が転げて、コンと向うへ飛んだ。
— 泉鏡花 『古狢』 青空文庫
何かの拍子に、その鐘が鳴ると目が覚めよう、と思う内…… 身動ぎに、この美女の鬢の後れ毛、さらさらと頬に掛ると、その影やらん薄曇りに、目ぶちのあたりに寂しくなりぬ。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
身動ぎに乱るる黒髪。
— 泉鏡花 『南地心中』 青空文庫
其の顔と、此の時、引返した身動ぎに、飜つた褄の乱れに、雪のやうに顕はれた円い膝頭……を一目見るや、「うむ、」と一声、※と枯蘆に腰を落して、殆んど痙攣を起した如く、足を投出してぶる/\と震へて、「違つた/\。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
少女は身動ぎをして、私に手を差し延べた、私の手と出遇ふのに程よい高さにそれを持ち上げたのである。
— ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 『夢』 青空文庫