静中
せいちゅう
名詞
標準
文例 · 用例
仏教では、平常の時のこの心構えを「静中の工夫」と言い、非常の場合を「動中の工夫」と言います。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
活殺生死の乾坤を定裏に拈出して、五彩の色相を静中に描く世なり。
— 夏目漱石 『薤露行』 青空文庫
私は其周囲にみやびやかにおとなしい初子と、怜悧で気骨のあるらしい品とをあらせて、此三角関係の間に静中の動を成り立たせようと思つた。
— 森鴎外 『椙原品』 青空文庫
ことに階子段の下で、静中に渦を廻転させる水を見たり、突然|姿見に映る気味の悪い自分の顔に出会ったりした時は、事後一時間と経たない近距離から判断して見ても、たしかに常軌を逸した心理作用の支配を受けていた。
— 夏目漱石 『明暗』 青空文庫
動中の静、静中の動だか、よくは知らないが、人の顔立でもさうだ。
— 尾崎放哉 『俺の記』 青空文庫
が、豪快蒲生泰軒、深くみずからの剣技にたのむところあるもののごとく、地を蹴って寄り立った石燈籠を小楯に、自源流中青眼――静中物化を観るといった自若たる態。
— 乾雲坤竜の巻 『丹下左膳』 青空文庫
静中観物化――という論語のことばを採ってもって流名とした観化流。
— 新版大岡政談 『魔像』 青空文庫
静中にあって心身をしずかにし、まわりのものの変移流転の相に眼をとめている――が、一度発するが早いか、石を絶ち、山を裂き、人を砕かずんば止まざる底の剛剣――それが、喧嘩渡世の茨右近である。
— 新版大岡政談 『魔像』 青空文庫